MyLifeTool:長期的な健康問題の自己管理に向けた、患者中心で全人的なアプローチ

ステファニー・キリンチ博士、テスサイド大学(英) ジョー・コール(ティーズバレー・ダラム・ノース・ヨークシャー神経学連盟、英) 長期的な健康問題は、世界的に高い有病率と疾病負担を伴い、とりわけ障害調整生存年に大きな影響を及ぼしていることから、各国の医療制度にとって重大な課題となっています。これらの疾患は健康関連の生活の質を著しく損ない、一般集団と比較して不安やうつ病の罹患率が高いことも明らかになっています。 MyLifeTool は、糖尿病、多発性硬化症、慢性疼痛、喘息、不安障害、神経発達症、脳損傷後遺症、線維筋痛症など、長期的な疾患を抱える人のための自己管理ツールです。このツールは、長期的な疾患を持つ当事者とNeuro Key のメンバー、そしてテスサイド大学の心理学者らとの共同開発によって生まれました。開発の基盤には、患者中心の非指示的な視点で自己管理をとらえる独自の自己管理フレームワークがあります。プロジェクトの中心には常に慢性疾患を抱える当事者の存在があり、MyLifeTool がどのような形になるかの意思決定や名称選定に至るまで、主導的な役割を担ってきました。 自己管理へのアプローチ 長期的な疾患に対する自己管理の取り組みは、しばしば医療的な成果や管理手法に重きを置きすぎて、行動変容ばかりに注目するあまり、社会的・対人関係的な文脈が軽視されがちです。これに対し、長期的な疾患の自己管理は、生活状況や症状に応じて柔軟に展開される、生涯にわたるプロセスであると捉えることができます。そのため、従来の指示的な介入から、個人が自己管理に必要な資源を発見し、育てていくことを支援するアプローチへの転換が提案されています。このような考えに基づき、私たちは自己管理を「人生の意味や目的を見出し、それを維持していくための旅路」と捉えています。それは、患者本人が自らの視点で取り組み、自分の生活や目標、ニーズ、疾患の経過に応じて調整しながら進めていく継続的なプロセスです。自己管理とは「診断名」に従うことではなく、「その人自身」を中心に据える営みであるべきなのです。こうした理由から、MyLifeTool では、どのような自己管理戦略が自分にとって有効か、または有効でないのかを患者自身が振り返るプロセスが重視されています。 MyLifeTool の構成 MyLifeTool は、5つの小冊子で構成されており、それぞれにポジティブ心理学に基づくさまざまなワークが盛り込まれています。これらのワークを通して、人々が自身の強みを見つめ直し、活用することを促しています。研究によれば、目的意識をもって生きることは、長期的な疾患を抱える人にとって重要であり、個人の成長や健康状態の改善とも関連していることが示されています。 Book 1: “Me and my condition(私と私の病)”は、「自分自身をより前向きに捉える」ことをテーマに、自分のアイデンティティに焦点を当てています。冊子では、「自分は病気によって定義される存在ではない」と認識し、自分に対して優しく接することの重要性が強調されています。あわせて、「自分とはどのような人間か」「自分にとって大切な価値観とは何か」「自分にどのような期待を持っているのか」といった問いを通じて、自己理解を深めるためのワークも盛り込まれています。 Book 2: “Embracing my body( 自分の身体を受け入れる)”では、自己管理プログラムでよく取り上げられる「計画的な行動」や「ペーシング(活動の配分)」といった戦略に焦点を当てています。ワークを通じて、自分の身体の声に耳を傾けることを学び、無理をしたときに現れるサインに気づきやすくなります。また、自分のエネルギーレベルを上手に調整し、日々の活動を無理なく続けるための工夫について考えることができます。 Book 3: “Taking charge(主体性を持つ)”は、自分の強みに目を向け、レジリエンス(回復力)を育て、調子の良い日をより有効に活かすことを目指しています。自分の疾患についてより深く理解し、それが日常生活の中でどのような意味を持つのかを見つめ直すことで、より前向きに自己管理に取り組めるようにします。また、目標設定や自分の強みを再確認するためのワークも用意されています。 Book 4: “Connecting with others(他者とのつながり)”では、支援を受けることの大切さと同時に、他者を支えることが、人生の意味や目的を高める効果があることに着目しています。ワークを通じて、家族や友人だけでなく、医療者やその他の専門職に対して、自分のニーズをどのように伝えるかを考える内容となっています。 Book 5: “What’s important […]

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休まなければダウンする: ヘルスケアにおける休憩の重要性

ジュリア・アラン、アバディーン大学(スコットランド) By Julia Allan, Aberdeen University, Scotland 現代人の生活は多忙を極めている。私たちは、「スイッチがオン」になりっ放しのデジタル世界に住んでいて、仕事から完全にオフになることはめったにありません。多くの人が長時間仕事をしており、最前線で働く医療従事者はその典型と言えます。ヘルスケアの現場では長時間労働と高デマンド(患者からの要求)が当たり前、「通常」勤務の 8 時間を超えて働くことが日常で、そして重い責任が課されています。緊急処置を必要とする患者が次々と来れば、たとえどれだけ忙しくても,何時間も働き詰めだったとしても、医療従事者には医療を提供する義務があります。このように需要がひっ迫しているため医療現場では休憩はごくあたりまえに無視されます。実に  看護師の 10 人に 1 人は十分な休憩を取らず、3 人に 1 人は勤務中に食事休憩をめったに、または全くとらないことが報告されています。 休憩を取らないでいると、トイレに行けないという実際的な不快感をはじめ、健康的な食事をとる機会がなくなる、意気消沈や不満感が高まる、ろくに休まずに長時間勤務することによる認知的変化など、さまざまな悪影響が生じます。

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食べるべきか食べざるべきか、それが問題です。健康心理学の専門家は人々が食の安全を守るのをいかに助けることができるのでしょうか?

バーバラ・モーラン、カーティン大学(オーストラリア) 問題 毎年世界中で10人に1人(約6億人)が汚染された食品を食べて病気になり、42万人が亡くなっています。こうした事例が発生する場所は地理的な偏りがあり、アフリカ、東南アジア、および東地中海地域で食中毒のリスクが非常に高いです(地域別の食中毒リスクの詳細については、こちらをご覧ください)。これらの地理的な違いに加えて、食中毒の原因となる物質にも様々な種類があります(ウイルス、細菌、寄生虫など)。 「農場から食卓まで」の食品安全チェーンには多くの段階があります。農家、産業、レストランが食の安全を守るのを支援する仕組みはありますが、食品を安全に取り扱う上で消費者の果たす役割は見過ごされがちです。食中毒予防の最終段階は消費者がいかに安全に食品を取り扱うかであるため、消費者の役割は非常に重要です。家庭で発生する食中毒の発生率は調査により大きく異なり、 11〜87%に及びます。消費者が家庭で食中毒にかかるリスクを最小限に抑えるために健康心理学の専門家ができることはたくさんあります。 食中毒の発生につながる行動にはさまざまなものがありますが、世界保健機構は食品を安全に摂取するための5つの鍵を発表しています。 手と食器を清潔に保つ 生鮮食品と調理済み食品を分ける(特に市場やお店から戻り、冷蔵庫に食品を保管するとき) よく加熱する 食品を安全な温度に保つ(温かい食べ物は温かく、冷たい食べ物は冷たく) 安全な水と原材料を使用する 消費者行動の予測 消費者行動に関する初期の研究は、消費者の知識を行動の主要な影響因と捉えていました。しかし、系統的レビューにより、知識が必ずしも安全な食品取り扱い行動につながるとは限らないことが明らかになりました。これは他の健康行動にも言えることです。とは言え、知識はやはり必要です。たとえ行動を変えるのに十分でないとしても、行動の「方法」と「理由」をよりよく理解するのに役立つからです。 知識のほかに消費者が食品を安全に取り扱うようになるための要因は何かと考え、研究者たちは心理学の諸理論に注目しました。例えば、計画的行動理論、防護動機理論、健康信念モデルなどです。最近のレビューでは、行動の意図、社会的規範、自己効力感、習慣が消費者の安全な食品取り扱い行動に重要な影響を及ぼすことが明らかとなり、これらの概念に基づく介入が行動改善に効果的である可能性が高いと結論付けられました。 食品衛生への介入 もう1つの画期的なレビューにより、家庭での食品安全を改善するために教育的介入にも効果があることが明らかとなりました。しかしながら、消費者を教育するのに加えて、心理社会的要因にアプローチする効果的な介入方法があります。たとえば、計画的行動理論に基づく介入例では、安全な食品取り扱い行動へと変容させることに成功しました。この介入では、大学生に食品安全情報を提示するとともに、具体的な計画や行動への障壁を特定するなどの戦略を用いることにより、食品を安全に取り扱いたいという意図と、自分はそれができるというコントロール感を高めようとしました。介入の結果、コントロール感と安全な食品取り扱い行動の両方が増加しました。この研究結果は、食品を安全に取り扱う方法を教育し、そのための具体的な計画を立てるように促すことによって(たとえば、肉と野菜で別々のまな板を使用する計画を立て、そのための具体的な方法を一緒に考える、など)、クライアントを支援できることを示唆しています。 習慣理論に基づく介入にも効果が認められました。この介入は、情報ポスター(手がかり)を提示し、 3〜5日ごとに行動を促すリマインダーを送ることにより、大学生が食卓用ふきんを電子レンジで加熱する習慣を身に付けることができました。この行動は3週間の介入期間で大幅に増加し、3週間のフォローアップ期間でも維持されました。この結果は、クライアントに食品安全情報を提示した上で、具体的な行動の習慣を形成する支援が有効であることを示唆しています(たとえば、ふきんを電子レンジで加熱するように週一で電話のリマインダーを設定しておく)。 これらの研究から、クライアントが食の安全を守るための行動に取り組むのを支援するために、健康心理学の専門家ができることはたくさんあることがわかります。食の安全についてクライアントを教育することからはじめ、その行動ができるという自信を高め、習慣づけられるように支援するのです。 最後に、すべての消費者に食中毒のリスクがありますが、とくに妊婦、5歳未満の子ども、免疫力が低下している人はハイリスク群であり、人口の約25%を占めます。したがって、健康心理学の専門家はこれらの介入を実行する最適な機会を捉え、慢性疾患を抱えている人、小さい子どもの両親や高齢者、妊娠を考えている女性にアプローチすることが重要です。 実践に役立つヒント 食の安全は家庭から始まること、食品安全行動の意図、社会的規範、自己効力感、習慣などが行動の重要な契機になることを人々に教育しましょう。 知識の役割を過小評価しないでください。国内および世界のリソースを活用し、 食品安全行動の重要性について消費者を教育しましょう。そうした情報に一度でも触れると、特定の簡単な行動は実行されやすくなります。 安全な調理法と食品取り扱いが私たちや家族の健康を維持し食中毒のリスクを最小限に抑えることを強調することにより、食の安全の重要性を訴えましょう。 合理的プロセス(例:意図)と自動プロセス(例:習慣)の両方に対処します。目標の設定や計画などの動機付け戦略から始めて、人々が食品安全の習慣やルーチンを構築するための手がかり(ポスターやリマインダーなど)の利用を勧めましょう。

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家での時間を健康的に過ごそう

フェデリカ・ピカリエッロ,ロナ・モス=モリス キングス・カレッジ・ロンドン(イギリス) COVID-19の爆発的な流行から数週間もしないうちに世界中で日常生活は様変わりし、未来は不確実なものとなりました。行動変容(すなわち、自主隔離、ソーシャル・ディスタンス、検閲)を直ちにかつ広範に行うことによりCOVID-19の感染スピードを遅らせることが喫緊の課題であるだけでなく、精神的・身体的ウェルビーイングへの影響を考慮することで早期介入を可能にし、長期的な影響を緩和する必要があります。 迅速なレビューにより、隔離が心理的に悪影響を及ぼし、しかもその影響は長期にわたることが明らかにされました。隔離期間の長期化、感染への恐怖、感染を疑わせるような身体症状へのとらわれ、フラストレーション、退屈、スティグマ、現実的な問題などが、隔離がもたらす心理的悪影響の重要な要因として挙げられました。ポジションペーパーは、パンデミックの影響を正確に評価し、これらの影響を軽減するなど、メンタルヘルス研究の優先事項を列挙しています。また、個人がウェルビーイングを維持するための最適な生活を実現しやすくすることの重要性も指摘しており、これはCOVID-19対策として必要とされる推奨行動の後押しにもなることが期待されています。 この事態を予期して、私たちキングス・カレッジ・ロンドンの健康心理学部門は市民参加型のイベントを開催し、COVID-19パンデミック時に健康心理学の理論とエビデンスを用いて健康とウェルビーイングを維持する方法を解説しました。この記事では、身体的・精神的ウェルビーイング向上のために重要な4つのポイントを紹介します。 1)家での新しい健康的な日常の確立、2)症状のモニタリングの有益なバランス、3)新しいつながり方や余暇活動、4)不確実性の管理です。 1) 家での新しい健康的な日常を確立する COVID-19の流行を阻止するための措置は日常生活を根本から変えました。従来の時間軸や外からのプレッシャーがなくなり、新しい日常に適応し、時間を管理することが大変になりました。しかしこのような変化は健康的な日常を新たに作り出す機会でもあり、パンデミックの中で心身ともに健康を保つための鍵となります。 運動、座位行動、睡眠、食事、飲酒に関しては明確な推奨事項が出されています。健康的な食事と運動の促進に効果的な手法をレビューした最近の研究では、セルフモニタリングと目標設定など、2つ以上の手法を組み合わせることが重要であることが確認されています。目標については、「何を」「いつまでに」を具体的にすることも重要です。 例えば、「お酒を飲まない日を3日作る」という目標よりも「月曜日、火曜日、木曜日はお酒を控える」という目標の方が実行しやすいです。 2)症状モニタリングを適切に行う 症状をモニタリングし、咳や発熱が続くようであれば自主隔離することも、パンデミック対策として用いられています。このような状況では、身体感覚を気にして症状がないか身体をスキャンし続けてしまうのはごく自然なことです。しかし、約80%の人が1ヶ月に2つ以上の症状を経験しており、とくに呼吸器系の症状は極めてありふれた症状です。日々の身体症状は、ストレスに対する身体の逃避・闘争反応である可能性があります。そのため、ある程度の不安は感染対策の動機付けとなるため有用ですが、不安が強すぎてしまうと身体症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。思考や感情に注意し、身体の症状から他の活動に注意をそらすことは、症状のラベル付けや再解釈(例えば、息苦しさはストレスのせいかもしれない)と同様に有効です。また、ストレスによって症状が悪化している場合は、リラクゼーションのエクササイズが不安解消に役立つこともあります。ただし実際にCOVID-19の症状がある場合は自主隔離し、重症化した場合は医師の診察を受けることが重要であるため、ありふれた症状なのか治療を要するかを適切に判断することは難しいところです。 3) 新しいつながり方や余暇活動を実践する ロックダウンを意味するソーシャル・ディスタンスという言葉は皮肉と言わざるを得ません。物理的な距離を保ちつつ、社会的なつながりを保つ方法を見つける必要があるからです。社会的孤立や孤独は死亡率や入院率の上昇と関係があります。そのため、自宅にいながら遠隔で友人や家族と連絡を取り合うこと、家族と一緒の時間を過ごすこと、余暇活動を行うことなどが、隔離中の重要な対処法として報告されました。 4) 不確実性を管理する 将来どうなるのか、いつ元の生活に戻れるのかといった不安は誰もが持っています。ポジティブな感情もネガティブな感情も生活の一部です。現在の状況に対して心配、恐れ、不安を抱くことは極めて妥当な反応です。ラス・ハリス博士はアクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)の世界的に有名な臨床家であり、現在の不確実性にうまく対処するための戦略としてとても役立つ情報を挙げています。例えば、あなたが悩んでいる考え(例:「ロックダウンで家族に会えない」)を思い浮かべ、その考えに30秒間集中します。次に、この思考を「私は・・・と考えている」というフレーズの中に入れ、これに30秒間集中します。最後に、この思考を「私は・・・と考えていることに気付いている」というフレーズの中に入れ、これに30秒間集中します。一つずつ進むごとに、思考との距離が広がっていることに気づくでしょう。 実践に役立つヒント – 運動や座位行動、睡眠のサイクル、食事、飲酒についてモニタリングすることを勧めるとともに、SMART目標(Specific, Measurable, Achievable, Realistic, and Timely:具体的、測定可能、達成可能、現実的、明確な期限)を用いて行動変容を起こすことで、家庭での有益なルーチンを再構築したり、新たに作り上げる支援をしましょう。 – 困難で不確実な状況に対する適切な反応として怒り、罪悪感、フラストレーション、恐怖、不安、悲しみなどのネガティブな感情を肯定します。 – 仕事や家事を離れ、楽しくてリラックスできるような活動を優先することの重要性を伝えましょう。新しいことを学んだり、普段は時間が取れないような趣味を再発見したりすることを勧めます。現在のように家にいる時間が長いときに、パソコン画面を見る代わりにどんなことができるかを創造的に考えてみる必要がありそうです。 その他の役立つヒントはこちらをご覧ください。

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健康行動を長期にわたって維持するには

ドミニカ・クワスニツカ SWPS大学(ポーランド)、メルボルン大学(オーストラリア) 健康増進プログラムの最終的な目標は、変化を長期的に持続させることであり、医療専門家はその実現のため、患者が健康状態を改善し、新しい行動を維持するよう手助けをします。しかし健康行動を変えるのは困難であり、それを長期的に維持するのはもっと困難なことです。健康心理学における一つの大きな疑問は、なぜ行動の維持がそれほど難しいのかということです。 この疑問に答えるため、私たちの研究チームは、禁煙やより活動的になるなど、健康にプラスになる行動に変えさせ、その後もこれを維持するメカニズムを説明する理論にどのようなものがあるかを調べました。その結果、行動変容とその維持プロセスを説明する理論は100個ありました。健康増進に従事する人々に良い知らせとして、私たちはこの100個の理論を長期的な行動変容のために取り組むべき5つの重要なテーマに要約することができました。

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ダチョウになるのはやめよう!

進歩をモニターすることのメリット トーマス・L・ウェッブ シェフィールド大学心理学部(イギリス)   砂糖の量を減らして10キロ減量するというあなたの目標の進み具合はどうですか?おそらく本当に知らない、あるいは知りたくないのではないでしょうか。このような状況では、まるで頭を砂の中に埋めるダチョウのように、目標の進捗状況を知らせる情報を意図的に避けたり、無視したりします。この 「ダチョウ問題」に関する研究によると、例えば、体重計に乗ったり、買った食品の表示を読んだりするなど、進捗状況を記録する人は少ないようです。そうすることで体重が目標より増えていたり、糖分を摂りすぎていることに気づいたりして罪悪感を覚えるからなのでしょう。しかし、理論やエビデンスによると、進捗状況を把握することで現実と理想の隔たりが明確になり、行動への動機づけが高まります。モニタリングを避けていると、いつ行動すべきか、そしてどのような方法が最も効果的なのかを判断できなくなってしまいます。したがって、ダチョウ問題は、医療専門家(およびその他の人々)にとって、患者が進捗状況をモニターし、その利点を最大限に活用することを支援する機会となります。そして当然のことですが、数々の研究によって進捗状況のモニターを勧めると目標達成が様々な領域で実現しやすくなることが示されています。

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あなたのクライアントは防衛的になっていませんか?もしそうなら、自己肯定が役に立つかもしれません

ピーター・ハリス、イアン・ハッデン、英国サセックス大学心理学部自己肯定感研究グループ   向き合いたくないことからずっと逃げ続けたいと思ったことはないですか。体に悪いものを好んで食べたり、健康診断に行かなかったり?まあ、そう思っているのはあなただけではありません。私たちのほとんどは、自分はかなり分別がある有能な人間だと思っています。だから、自分のしていることが本当は分別も有能さもないと知ってしまうのはかなりつらいことです。結果として私たちは聞きたくないメッセージを無視するのとても上手です。 残念ながら、肥満や喫煙、あるいは薬物療法を守らないことなどが健康にいかにリスクになるかというメッセージを無視すると、人生の質や寿命長さの両方に深刻な影響をもたらす可能性があります。では医療従事者として,クライアントが無視したがる健康メッセージを受け止めるためにどのような支援ができるでしょうか?自己肯定というテクニックが役に立つかもしれません。

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高齢期の身体活動:どのくらいやればよいのか?

7目標設定, 動機づけ面接, セルフモニタリング アン・ティーデマン、シドニー大学(オーストラリア) 「活動不足はすべての人間の健康を損なうが、体を動かしたり計画的な運動を行うことはそれを防ぎ、さらに維持する」—プラトン、紀元前400年 身体活動を習慣化することが健康とウェルビーイングにとって重要であることは、昔から知られています。しかし、健康増進のメッセージは子どもや若者を対象とすることが多く、65歳以上の人々の身体活動の重要性にはあまり焦点が当てられていません。しかし、日々の生活で体を動かすことは高齢期にこそ重要なのです。 WHO「健康のための身体活動に関する国際勧告」では、65歳以上の人は1週間を通して、中強度の身体活動を少なくとも150分行う、または高強度の身体活動を少なくとも75分行う、または中強度と高強度の活動を組み合わせてこれらと同等の活動を行うことを推奨しています。さらに、転倒予防やバランス能力向上のための身体活動を3日以上行うこと、筋力トレーニングを週に2回以上行うことが推奨されています。このように健康増進につながる身体活動量に関しては明確な勧告があるにもかかわらず、世界人口の約3分の1が運動をしておらず、中でも高齢者の不活発状態はとても深刻です。 ガイドラインが推奨する活動量までは達成できなくても、何か少しでも行動することは、全く何もしないよりもはるかに価値があります。身体活動には、運動教室に加え、アクティブな移動手段、ガーデニング、家のメンテナンスなど、さまざまな種類があります。まずは無理のない範囲で小さなことから始め、徐々に活動量や強度を増やしながら、楽しめるものを選ぶことが、継続するための最善の方法です。 すでにランニングやボート漕ぎ、サイクリングなどの運動に積極的に取り組んでいる人は、年齢を気にせず、健康状態が許す限り、続けて構いません。 高齢になると転倒のリスクが高まり、65歳以上の約3人に1人が毎年転倒を経験するとされています。転倒は、高齢者本人やその家族に深刻で長期的な影響を及ぼし、時には入所型介護施設への入居を余儀なくされることもあります。しかし、転倒は必ずしも避けられないものではありません。定期的にタンデムウォーキング(綱渡りのように片足のつま先ともう片方の踵をつけながら一直線に歩く方法)や、座位から立位への運動を繰り返し行うことで、バランス感覚を養い、転倒を予防することができます。 経済的、身体的、社会的、または実際的な理由など、高齢者には活動的になることを妨げる特有のハードルがあります。しかし、中には日々の身体活動を記録できる電子機器を活用し、運動への意識を高めたり、モチベーションを維持している人もいます。 身体活動の目標を達成する上で、特に支援が必要な人もいます。ヘルスコーチングという指示的アプローチは、行動変容を促進する戦略として、動機づけ面接技法や問題解決型の目標設定などを提供しています。60歳以上の身体活動に関するヘルスコーチングの効果を分析したシステマティックレビューでは、このアプローチが身体活動を有意に向上させることが明らかになりました。 目標設定は、身体活動の変化を促進するための効果的な戦略の一つです。目標を定めることで、達成への切迫感が生まれ、望ましい変化を実現するための時間とエネルギーを注ぐモチベーションが高まります。その効果を最大限に引き出すコツは、目標は自己管理型であること、S.M.A.R.T.(具体的:Specific、測定可能:Measurable、達成可能:Attainable、関連性:Relevant、適時性:Timely)であることが必要です。 身体活動への参加がもたらす社会的な利点は、高齢者にとって特に重要であることがよくあります。グループでの運動をしたい人には、さまざまな選択肢があります。たとえば、多くの地方自治体には無料のウォーキンググループがあり、楽しく社交的に身体を動かす場が提供されています。また、運動に積極的に取り組みたい方には、Parkrun がおススメです。世界各地の1,700以上の会場で毎週開催される、無料の5kmのタイム計測付きランニング(またはウォーキング)イベントです。 身体活動に関するメッセージは、年齢を問わずシンプルです。何かをすることは、何もしないよりもずっと価値があり、たとえ少しずつでも健康増進へとつながるのです。 実践につながるヒント 健康とウェルビーイングを向上させるために、身体活動をすべての予防/治療計画に組み込みましょう。 エレベーターではなく階段を使ったり、可能であれば車ではなく歩いて買い物に行くように勧めましょう。 初めて運動を始める高齢者は、楽しめる活動を選び、無理のない範囲からスタートし、徐々に持続時間や強度を高めていくことが大切です。 高齢者の転倒リスクを減らすには、バランスを鍛えるような立位での運動が特に有効です。 高齢者が身体活動を増やし、それを維持するためには、目標設定、アクティビティトラッカーの利用、さらにはヘルスコーチングを取り入れることを提案しましょう。

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