休まなければダウンする: ヘルスケアにおける休憩の重要性

ジュリア・アラン、アバディーン大学(スコットランド) By Julia Allan, Aberdeen University, Scotland 現代人の生活は多忙を極めている。私たちは、「スイッチがオン」になりっ放しのデジタル世界に住んでいて、仕事から完全にオフになることはめったにありません。多くの人が長時間仕事をしており、最前線で働く医療従事者はその典型と言えます。ヘルスケアの現場では長時間労働と高デマンド(患者からの要求)が当たり前、「通常」勤務の 8 時間を超えて働くことが日常で、そして重い責任が課されています。緊急処置を必要とする患者が次々と来れば、たとえどれだけ忙しくても,何時間も働き詰めだったとしても、医療従事者には医療を提供する義務があります。このように需要がひっ迫しているため医療現場では休憩はごくあたりまえに無視されます。実に  看護師の 10 人に 1 人は十分な休憩を取らず、3 人に 1 人は勤務中に食事休憩をめったに、または全くとらないことが報告されています。 休憩を取らないでいると、トイレに行けないという実際的な不快感をはじめ、健康的な食事をとる機会がなくなる、意気消沈や不満感が高まる、ろくに休まずに長時間勤務することによる認知的変化など、さまざまな悪影響が生じます。

健康行動を長期にわたって維持するには

ドミニカ・クワスニツカ SWPS大学(ポーランド)、メルボルン大学(オーストラリア) 健康増進プログラムの最終的な目標は、変化を長期的に持続させることであり、医療専門家はその実現のため、患者が健康状態を改善し、新しい行動を維持するよう手助けをします。しかし健康行動を変えるのは困難であり、それを長期的に維持するのはもっと困難なことです。健康心理学における一つの大きな疑問は、なぜ行動の維持がそれほど難しいのかということです。 この疑問に答えるため、私たちの研究チームは、禁煙やより活動的になるなど、健康にプラスになる行動に変えさせ、その後もこれを維持するメカニズムを説明する理論にどのようなものがあるかを調べました。その結果、行動変容とその維持プロセスを説明する理論は100個ありました。健康増進に従事する人々に良い知らせとして、私たちはこの100個の理論を長期的な行動変容のために取り組むべき5つの重要なテーマに要約することができました。